イタリア・トリエステ滞在記(平成19年2月25日−3月14日)[3]

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 ここでは,今回の滞在で経験した私的な感想をアルコールと料理について自由に書いておきます.

[1] イタリアのアルコール

 時期が冬だったせいか,イタリア人がビールを飲む姿は滅多にお目にかかりませんでした(ミラノでは別です).勿論,レストランにはビールを置いていますが,大抵はいきなりワインが多かったと思います.風呂上がりのビールに慣れた私は,常にビールは絶やせません.幸い,ドイツビールが1ユーロ/500ml と天国でした(写真10参照).総じてワインも安くて美味いものが多く,単純ですがこれがイタリアの魅力になっています.イタリアワインと言うと,日本ではトスカーナ地方のキャンティクラシコが有名です.空港の免税店では良く薦められます.しかし,フリウリ地方にも大変美味いワインがあります.レストランで呑んだワイン名をメモし,ミラノマルペンサ空港の免税店で尋ねましたが,残念ながら無名のワインだったようです.イタリア至る所,美味しいワインの産地です.最近の空港では,1000ミリリットル以上の手持ち品持ち込み禁止のため,街で見つけた珍しいお酒を(スーツケースに入れる以外)持ち帰る事が出来ないのは何とかして欲しいと思います.

 イタリアには好きな食前酒・食後酒は沢山あります.ベルモットはワインにスパイスを入れ,さらにアルコールを添加している.コリアンダーなどを入れるから好き嫌いがあるが,魚介類の食前酒として良い.カンパリも代表的なイタリアのリキュールです.カンパリクラッシュアイスはきついが食前酒として最高です.レモンチェッロもレモンをベースにしアルコール度は高いが,ぎんぎんに冷やし,食後酒としてはすっきりしています.以前ISITA2004の帰りのローマで娘と夕食をとった折,お隣り席の2人連れがうまそうに呑んでいたのを見て注文しようとしました.ボトルで注文するらしく,2人連れが半分残ったボトルをくれました.早速ローマで3本購入し持ち帰りました.今でも1本,自宅の冷蔵庫に眠っています.昨年,ローマに行った折,いちごをベースにしたマウリチオルッソ?もあります(厳重に包装し,スーツケースに入れて持ち帰りました).これらはイタリアの都会のリキュールでトリエステにはありませんでした.やはり,ここでは独特の香りを持つアルコール強化ワインのシェリー酒が一般的のようです.

[2] イタリア料理

 イタリア料理(と言っても昔総菜屋のようなレストランで食べた)で印象に残るものに肉詰めトマトがあります.スガロ先生の奥様に名前を聞いたところ,それは pomadori gratinati と言うそうです.日本でもポピュラーになったピーマンの肉詰めのトマトバージョンと考えればいいのですが,オリーブオイルとスパイスの利いた純然たるイタリア料理です.以前来たときの記憶を辿って,オーベルダン広場の小さなレストランを探しましたが,残念ながらありませんでした.アパートのあったボルサ広場近くのソーセージとワインの美味しい居酒屋もなくなっていました.代わって,マクドナルドやファーストフッドピザ屋が目立つように感じました.

 チーズと生ハムについても話しておかねばなりません.チーズの種類は豊富です.フランスのブルーチーズのような(名前は分かりません)ものもありますが,イタリアでは何と言ってもパルメジャーノレジャーノです.似たものにタラナパダノというのもありました.大体,20ユーロ/1kg なのが 300g 位を真空パックに入れて売っています.生ハムと言えば,パルマISITA2004で食べたのを思い出します.その時は,小林先生夫妻・八木君・細谷君にウチの嫁・娘とパルマ駅の近くのレストランでした(写真11参照.以前のもの).ワゴンに載って運ばれた骨のついたままの数種の大きな生ハムから選び,目の前で薄く削いで供されます.これが赤ワインに合うのです.オープニングパーティの終った後なので満腹の状態でしたが,入る場所が違うようでした.トリエステのコープにも肉製品のコーナがあり,重さを言って注文すれば目の前で削いでくれます.生ハムではなく,ベーコン(正確には,パンチェッタという)もありました.すごく塩辛いので,煮込み料理に使うようです.

 トリエステ滞在中,ロンゴ先生・スガロ先生から食事の招待を受けました.一度目はロンゴ先生からお招き戴いたオプチーナの奥にあるレストランです.オプチーナはオーストリア風の建物が並ぶトリエステのリゾート地として知られています.オーベルダン広場からトラムカーというケーブルカーのような急勾配を登る電車で行く標高300mの大変裕福な町です.オプチーナから20分ほど車で行くと,昔の国境がありました.今は何もない原っぱでした.レストランはさらに10分ほどしたところにあり,週末なので結構混んでいました.フラッシュを焚くのを避けたので余り写りは良くありません(写真12写真13参照).この日のイタリアでは月食(エクリプス)だったので記憶に残ります.ロンゴ先生は勿論情報理論が専門ですが,随筆家としても知られています.2年前に訪ねたときは著書も戴きました.あいにく,イタリア語なので嫁に渡したままです.ロンゴ先生は日本に来られた事はありませんが,日本のことは良く勉強しておられます.食事をしながら,突然!”hikikomori”(「引き籠もり」)という日本語の意味を正確に知りたいと言われました.いろいろ例を上げながら説明すると,やはりそうか,イタリアの都市部にもあると言っておられました.幸い,田舎町トリエステでは話題にならないようです.レストランの往復はスガロ先生の運転でした.帰りはかなり呑んだ後なので,少し心配でした.車も少なかったのですが,お酒が入っても車の運転は平気のようです.日本では血液中 0.015% 以上で酒酔い運転です(アメリカでは15年ほど前,免許切り替えでペーパーテストを受けた際,確か0.1% から0.08% 以上と厳しくなっていたと思います).イタリアではどうなのでしょうか.

 二度目はスガロ先生のお宅に招かれました.家内が自宅に飼っている猫のために一足先に帰り,代わりに娘が来ました(写真14参照).家内が何故早帰国するのかと聞かれたとき,猫が沢山居るからその世話が大変で娘も閉口していると言ったところ,では何匹いるかと尋ねられました.とっさに何匹いるか分からず,uncountable と答えたところ,平澤の宅には猫が(アレフゼロ)いると仲間にも冗談を言っておられました.スガロ先生宅では奥様の手作りのイタリア料理を戴きました.やはりプリモはパスタでした.トリエステ風スパッゲッティだそうですが,日本で食べるのは硬いゆであがりと違いかなり柔らかく,パルメジャンチーズとオリーブオイルの混ざった独特の味でした.娘はスパッゲッティが好きなので,トリエステのレストランでも注文していましたが,味はこれとも違うと言っていました.デザートはすごく甘いアイスクリームで,これには参りました.ちなみに,奥様はロンゴ先生の教え子で,情報関係が専門です.従って,スガロ先生はロンゴ先生に頭が上がらないようです.奥様は卒業後,日本郵船のイタリア支社を経て現在航空会社に勤めておられます.日本にかなり興味を持っておられるようでした.

[平成19年5月5日 自宅にて]

 

  


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